愛と憎しみの果てに(13)

2015年12月15日

  キャンプから二か月ほど経ったある日私は別の女子部員に体育館の用具室に呼び出されその女子部員が私と付き合いたいと言ってると告げられた。私は生まれて初めて好きだと告白され驚いた。その女子部員のことはそれまで特別に意識した事は無かったが嫌いではなかった。私は断る理由もなく彼女と交際することにした。付き合い始めたと言っても弓道の練習で毎日顔を合わせそれまでと何も変わらなかった。変ったことと言えば駅までの道を一緒に帰るようになったことぐらいだった。私はそれで満足していた。別に休みの日に二人だけで会ったりしようとは思わなかった。年が明け暫らくして彼女から部室に呼び出された。そして突然別れてほしいと告げられた。私が好きな人が出来たのかと尋ねるとそうじゃないと言って目に涙を一杯貯めていた。私にはその涙の訳が分からず、もう何を言っても無駄だと思った。私は黙って扉を開け彼女を一人残し部室を出た。いくら考えても私には何故彼女が別れたいと言い出したのか理解できなかった。私は彼女と顔を会わせるのが辛く翌日から練習に出なくなった。そして一週間後キャプテンでありながら弓道部を辞め陸上部に入りやり投げを始めた。三年に進級する直前の事だった。何の相談もなく弓道部を辞め陸上部に入った私に親友はそれから暫らく口を効かなくなった。私は彼女のことを忘れるためやり投げに打ち込んだ。がむしゃらに何かやっていなければ頭がおかしくなりそうだった。

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Posted by mplan at 10:26 | Comments(0) | 小説
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